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清里、日帰りひとり旅


 ある休日、朝の用事を終えたボクは、今日の天気があまりにもよすぎることに気がついた。すると、山がボクを呼んでいるような気がした。これは、でかけるしかない。
 さっそく、その日の予定をすべてキャンセルした。
 どこにいこうか。時間はもうお昼なので、早く出なきゃ。夕やけが見れて、星がみれて、ここから2時間くらいでいけるところ。うーん。清里かな。
 1時に出て、4時すぎに清里到着。高速に乗るまで混みすぎでちょっとかかってしまった。
 清里の、「美し森」という展望ポイントに登り、せっかく一人なので、空が、青空→夕焼け→星空、と変わっていく様子を、気長に観察することにした。



4:25 	展望ポイント到着。まだまだ空は青く、ぜんぜん夕方という感じではない。

	雲は少ない。遠くの山が、くっきりと鮮明に美しい。

	ミニサイズの赤とんぼに出迎えられた。

	やはり、空気がきれいなところは、赤とんぼの色もきれいだなあ。

	やっぱり、山は、静かでいいなあ。

	日差しはけっこう強くて、暑いくらい。

	ずっと空をみていても変化はないので、持ってきた資料を勉強していた。

	大自然の中の勉強だからはかどるかな、と思っていたが、そうでもなかった。

	人がいれかわりたちかわりやってくる。

	みんなの声をきいていると、一様にうれしそう。

	登り切った達成感と、きれいな景色で。

	若者にはかなりラクな、短い坂だが、やはり中年の方は、かなり達成感を感じるらしい。

	それにしてもやはり、ボクのように、一人できている人はいない。

	ボクのように、ずっといる人もいない。

	ボクは、みんなが味わえないものを味わうぞーと意気込んでいた。

	ベンチに寝転がって真上をながめた。青い。そしてちょこんと雲が。

	木の枝も。


4:55	空の色があまり変わらないまま、太陽が山に隠れた。

	そう、この場所は、ちょうど太陽の方向に、ここよりも高い山があるのだ。

	だから、夕焼けをみるには、あまり適していないみたい。

	でも、こういう場所ならではの景色が見れるはずだ。

	太陽が山に隠れたときから、その山のこちら側の面が影になり、

	その影はだんだんと大きく伸びていった。

	森を、じわりじわりと、黒い影が覆っていく。

	光と影を分けるラインが、森のうえにくっきりと。

	じっと見つめていても、進んではいかない。

	でも、ちょっとして気づいたら、かなり進んでいる。

	不思議なもんだ。

	太陽が隠れた山の方向の雲の写真をとっても、山が真っ黒になる。

	当然か。

	雲が増えてきた。

	今まで、山にいくと大体、夕方になると雲が増える。

	そうでない日もあったけど、たいていは。

	そういうもんなのだろうか。

	気温の変化とか、関係あるのだろうか。

	さて、さっきまでは雲は、雲全体が明るい白だった。

	しかしこの時間になると、雲に、光がよくあたる部分と、

	そうでもない部分がでてくる。

	その感じが、「夕方になりかけの空」を演出しているのだろう。

	虫がよってきて、しつこくつきまとってきた。

	とまるわけではなく、まわりをぶんぶん飛んでいる。

	手ではらってもはらってもやってくる。

	虫と1分ほど格闘。

	そしてふいに空をみると、あ、雰囲気がちょっと変わっている!

	「昼間」から「夕方」になる瞬間を見逃さないぞぉ。


5:10	この時間になると、雲は、光が当たらない部分のほうが多くなる。

	しかし、あたっているところの色がなんともいえない。

	赤になりかけの白、という感じだろうか。

	白がだんだんとやわらかくなっていくような。


5:25	空はまだまだ青い。

	太陽が隠れた山の方角の雲。

	そこに、シャキーンと差し込む光がいい。

	本当に「差し込む」という感じで、数本の光線が見える。

	山の向こうに太陽があって、そこから雲の下側が照らされて、

	雲の中に光と影が交錯している。

	まだ、光は、赤というよりは、白だ。でもかなりやわらかい白。

	

5:35	赤になったぞ、と。

	空が赤いのではない。空は青い。

	雲にあたっている光が、白から徐々に、赤になってきたのだ。

	夕焼けになった瞬間といえるかもしれない。



5:40	後で考えると、この時間が、

	今日見た夕焼けとしては、一番綺麗な空だった。

	青い空に、雲が浮かんでいて、赤い光があたっている。

	いいタイミングで、携帯で写真をとれた。

	もちろん壁紙にしている。

	

5:50	空が青くなくなった。白くなった。

	夕焼けから闇への移ろいへ。

	遠くの空は、うっすら赤い。

	少し、寒くなってきた。

	虫が増えて、たくさんよってきてうっとうしい。

	手ではらってもはらってもよってくる。

	遠くの街のあかりがポツポツと点灯。


6:00	闇がくるぞお。

	遠い空はまだうっすら赤い。

	それもまた風情があっていい。

	でも、かなり暗くなった。

	岩の上に座っていたが、岩の、太陽があたっていた面は、まだあたたかい。

	少し雲が減ったかな?星がみれるかなあ。


6:20	どのくらい暗くなれば、夜といえるのか。

	今は、まだちょっと明るいといえば明るいし、闇といえば闇だ。

	周りはちょっと見渡せる。でも本は読めないだろう。

	雲が多くて、街のあかり、そんなに明るくはないけど、でも反射しているのだろうか。

	だからちょっと明るいのかなあ。

	夕方から夜になる瞬間はいつだったのか、今考えてもよくわからない。

	そんなとき、雲のすきまに一番星を発見。

	ちらちらと、不安定に光っていた。

	さっきからずっと、誰もこない。

	一人きりの時間を堪能していた。

	夜になると、昼間に聞こえなかった、遠くを走る車のロードノイズが、少し聞こえる。

	遠くの街は、「夜景」になった。



6:40	星はムリかなあ・・・

	雲が多いし。

	そんなことを思って、ベンチに寝転がっていた。

	すると!

	ちょっとした雲のすきまに、数個の星を発見。

	そして、そういうすきまが、徐々にふえてきた。

	すると欲がでてきて、満天の星がみたくなってきた。

	その願いを祈ってみた。すると・・・

	さらに雲がとれてきたのである。

	おお!ちょっと感動。


7:00	明日は朝早く仕事なので、そろそろここをでないと。

	荷物をもって、展望ポイントを後にした。

	少し降りたところで、星がかなり見えてきた。

	空の半分は雲に覆われているけど、残りの半分はけっこう雲がない。

	まあ、以前に小学生の時に八ヶ岳でみた、

	プラネタリウム状態には遠いし、天の川まではみえないんだけど、

	でも、ざっと数えて100個か200個の星が、空に輝いていた。

	こんなに星をみたのは何年ぶりだろう!

	何度も立ち止まって、空を眺め、

	徐々に降りていった。



その場では、まあ、夕焼けも星空もまあまあだったかな、と思っていた。
しかし、1日経って、こうして振り返ってみると、かなりいい体験をしたなあ。
とてもさわやかになれた。
さて、清里を出て向かった先は、山梨市の、「ほったらかし温泉」。
甲府盆地の夜景を眺めつつ、すばらしい露天風呂を堪能。
9時だというのに、たくさんの人がつめかけていた。
もう少し人が少なかったら最高だったなあ。まあしょうがないか。
空は完全に曇っていた。もし晴れていれば、星を見ながら露天風呂、という最高の気分が味わえるだろう。
展望もいいし、お湯加減もなかなかいい。行ったことがない方は是非一度! ほったらかし温泉のウェブサイトはこちら

そして、談合坂SAでカツカレーを食べて帰った。
ボクは、昔から、高速道路に乗ったら、肉ウドンか、カツカレーと決まっている。
最近はカツカレーが多いかな。カツカレーなど、ボクには、ほかでは食べれらないのだ。
でも行きに寄った、やはり談合坂SAには、カツカレーがなかった。
SAにしては、珍しい。カツカレーがないなんて。
本格インドカレー屋があり、どんぶり屋があった。
だから、カツカレーがメニューに入る余地がないのだろう。
インドカレーにカツは邪道だろうし、どんぶり屋は、カレー屋の手前、カツカレーは作れないだろうから。
だから仕方なしにカツ丼を食べた。けっこううまかったけど。
カツ丼を食べつつ、帰りは、カツカレーを食べよう!と決意をかためたのだった。
そして帰りにめでたくカツカレーを食べた。ちょっとカツが薄かったけど許そう。
これで、ボクのリフレッシュツアーが、めでたく終れると、感じた。
調布で降りずに、高井戸から環八で帰ってみた。高井戸からうちの駐車場まで30分だった。
環八は信号が多いなあ。夜中なのにそこそこ車が走っているし。
だから、調布で降りて、多摩川沿いで帰っても、あまりかわらないだろう。
急に思い立った旅だったが、行ってよかったと思う。
たまに一人旅、いいでしょ。


行った日:2006.9.20
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