自己保持回路とは(やさしい解説)

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自己保持回路とは

モーターなどに使われる自己保持回路についてなるべくやさしく説明してみたいと思います。

ただスイッチをつなぐだけだと

次の回路図をご覧ください。

押ボタンスイッチを押すと、コイルに電流が流れ、マグネットスイッチがONになり、モーターがまわります。

しかし、この回路だと、押ボタンスイッチを押している間だけしか、コイルに電流が流れません。

つまりモーターを回しつづけるために、押ボタンスイッチをずっと押していなければなりません。

そこで、少し改良を加えることにします。

補助接点を経由させるとあらふしぎ

次の回路図が、改良を加えたものです。

マグネットスイッチには、普通、補助接点がついています。

マグネットスイッチを買うときに、補助接点1a1bとかいう、あれです。

主回路のスイッチに連動して動き、A接点なら主回路と同様に、B接点なら主回路と反対に動きます。

このたびは、マグネットスイッチの補助A接点を経由させて配線してみました。

この回路、どんな動きをするでしょうか。

押ボタンスイッチを押すと S1 と S2 がつながりますね。

すると 2 → A1 → A2 → S2 → S1 → 13 → 3 と、電流が流れます。

コイルに電流が流れてマグネットスイッチがONし、モーターは回り出します。

では、押ボタンスイッチを押していた手を離すとどうなるでしょうか。

なんとマグネットスイッチは入りっぱなしで、モーターは回り続けるのです。

なぜでしょう?

押ボタンスイッチを押していた手を離すと、S1 と S2 が離れますが、ついさっきマグネットスイッチがONしたときに、補助接点の 13 と 14 がつながったので、次のような順に電流が流れます。

2 → A1 → A2 → S2 → 14 → 13 → 3 と電流が流れ、コイルには電流が流れ続けています。

それでマグネットスイッチは入りっぱなしで、モーターは回り続けるのです。

こうやって、人の手を借りずにON状態を保持する動作をする回路を、自己保持回路と呼ぶのです。

しかし、この回路だと、一度押ボタンスイッチを押すと、それ以降、永久にモーターが回り続けてしまいます。

もちろん主電源を切れば、モーターは止まりますが、マグネットスイッチだけを切るほうがスマートですよね。

なにかいい方法はないでしょうか。そう、OFFスイッチをつければいいのです。

 
OFFスイッチをつけてみよう

次の回路図が、改良を加えたものです。

ON押ボタンスイッチの近くに、OFF押しボタンスイッチを一つ追加しました。

押ボタンスイッチには、A接点とB接点があります。A接点は、普段は切れていて押している間だけつながるスイッチ。B接点は、普段はつながっていて押している間だけ切れるスイッチです。

OFF押ボタンスイッチとして、B接点スイッチを追加しました。

この押ボタンスイッチを押すとどうなるでしょうか。

さっき、ON押ボタンスイッチから手を離したあとずっと、 2 → A1 → A2 → S2 → 14 → 13 → 3 と流れていると説明しました。

その流れのおかげでモーターが回り続けているのですから、その流れを一瞬でも断ち切ればよいのです。

新しくつけたOFF押ボタンスイッチを押すことで、その流れを断ち切ることができます。

新しくつけたOFF押ボタンスイッチを押すと、コイルに電流が流れなくなり、補助接点は離れ、ON押ボタンスイッチもすでに離れているので、もうコイルに電流は流れなくなり、マグネットスイッチの主回路が切れて、モーターは止まります。

これで、好きな時にON・OFFできるモーター回路ができあがりました。

モーター配線の基本中の基本です。

実際にはこれに、サーマルリレーが加わったりします。

自己保持回路の説明でした。