プラスチック押出機の構造

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プラスチック押出機の構造

わかりやすい押出成形技術

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プラスチック押出機の構造を文章だけで表現してみようという試みです。もし写真や図が必要なら、「押出機」とウェブ検索すればたくさんでてきます。

わたしがいつも見ている押出機のことを記します。

大きな流れとしては、

材料の投入

ヒーターに囲まれたパイプの中を、材料が熱で溶けながら進んでゆく

出口に待ち構えている金型の中へ材料がはいっていく

という流れです。

材料の投入

こなごなの材料をラインに投入するところにホッパーという、材料をかきまわす装置がある。(モーター駆動)

それによって均等に材料がはいっていくのだろう。たぶん。

材料が落ちにくい時のために、バイブレーションモータを取り付ける時もある。

溶ける、進む

強力ヒーターに囲まれた通路を、溶けた状態で進む。

ヒーターに使われる電線は、耐熱電線でないと、すぐに被覆が溶けてしまうだろう。

ヒーターは温度センサー(熱電対)、および温度調節器と連動していて、自動でON・OFFする。

使われているヒーターは、「バンドヒーター」。詳しくはこちら→サイトに飛びます

熱くなりすぎた部分を冷やすための「ブロアー」もついている。空冷する。

金型へ

そして金型に材料がはいっていく。

金型に入る、押出機の出口の周辺も、ヒーターに囲まれている。

始動時の注意

押出機を使用し、そして停止したら、材料が溶けて進んでいく道には材料が残っていて、停止後冷えて固まる。

そのように前回の材料が残っている場合には、まず、機械内に残っているその材料をヒーターである程度溶かしてから、スクリューを回すスイッチをいれる必要がある。

そうしないと、冷えて固まっている材料の中でスクリューをまわすことになり、そうするとスクリューに大きな力がはいって、スクリューが折れてしまう。

スクリューが折れたら大損害である。1本120万円とかするという。最近の機械にはスクリュー折れ防止機構がついていて、すべての温度センサの温度が設定値に近づきかつそこから一定時間経過しないと、ロックが解除されず、スクリューを回すモーターがまわらない。

(スクリュー防止折れ機構が付いている場合は、温調器の設定値が高いと、始動までに時間がかかる。それが困る場合は、まず最低限スクリューが折れないくらいの温度に設定しておいて温度が上がるのを待ち、ロックが解除されたらスクリューを動かしはじめ、その後徐々に、設定を目的の温度にあげていくという方法がとれることもある。)

ヒーターで機械内に残っている材料をある程度ドロドロに溶かして、それからスクリューを回す必要がある。それでも、最初のほうにでてくる材料は柔らかさが十分でないので、金型に入れずに、捨ててしまうこと。

材料にもよるかもしれないが、溶けて、スクリューをまわしはじめると、ヒーターによってだけではなく、材料どうしの摩擦によっても温度の上昇が起こるという。

材料入れすぎのトラブル対処

私が経験した、材料入れすぎトラブルを書いておきます。

ある日の担当者が不慣れで、材料を押し出し機にいれすぎてしまい、それでメインモータがまわらなくなったのです。

最悪の場合スクリューを取り出すという大変な事態にもなりえるという。

しかし「材料の温度をあげてみる」という対処法を試してみることになりました。

まずは、材料がこれ以上はいらないように、入り口にある材料を手とかでなんとかかきだしました。

それから、ふだん200℃くらいにしているヒーターの温度設定を、250℃くらいにあげてみます。

全体の温度が上がっていきます。出口の近くは、温度があがりにくいらしいですが、それ以外がだいたい上がりました。

この時気を付けるのは、あげすぎないこと。300℃くらいになると自然発火の恐れもあるらしいのです。

全体的に250℃に近づいたところで、メインモータをON。

すると、無事に回りだしたのでした。

よかった。

無事に回りだしてあるていど余計な材料を出すことができたら、温調機の設定をもとに戻すことも忘れずに。